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2024年11月13日
有機農業の振興へ~奈良県宇陀市オーガニックビレッジ宣言~
宇陀市は2022年11月に全国の自治体に先がけ「オーガニックビレッジ宣言」を発表s、有機農業の振興や課題解決に向け、有機資源の活用や流通などに取り組んでいる。
〇畜産堆肥の活用へペレット化
宇陀市は県北東部に位置し、大和高原の夏季冷涼な気候を生かし、ホウレンソウなどの軟弱野菜を中心に有機農作物の栽培が盛ん。また、有機農業経営体数は17経営体で、県全体の約41%(2023年度)だ。
市農林商工部農林課井上博文さんは「宣言以前から有機農業が盛んで、自主的に環境に優しい農業を実践する者と行政や関係機関の連携があったからこそ、市がいち早く宣言を発表することができた」と話し、「有機農業の課題は多く、公民連携まちづくりプラットフォームと連携して、引き続き協力していきたい」と話す。
市の有機資源である畜産堆肥は水稲などの土作り資材として活用を検討。有機農家と畜産農家、関係機関が協力し、運搬・保管・散布の利便性向上のためペレット化などの二次加工試験が行われている。
〇規格外品を加工 食育にも注力
フードロスの削減を目指して、規格外の有機農作物で常温保存が可能な無添加無着色のペーストを開発。こども食堂や企業の社員食堂などへの出荷も広がっていて、小中学校やこども園の給食に活用することで食育にも力を入れる。
市内で有機JAS認証米を生産する林秀和さんは「日本で初めて市がオーガニックビレッジ宣言を発表したので、有機農作物の生産量も日本一を目指さなければならない。若い米生産者を増やし、大和高原地域の米の知名度向上のために勉強会を続けていきたい」と意気込む。
井上さんは「有機野菜は規格外品も多く値段が高くなりがちだが、多くの方に手に取ってもらえるよう、さらなるPR活動や販路拡大に力を入れていきたい。新規の有機生産者が増えているが、定着するように行政としてサポートしていきたい」と話す。
「有機JAS認証取得の米作り研修会を開催している。生産者がたくさん増えてほしい」と林さん。