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2024年3月12日
~導入コストが安価~ 植物工場を開発
田原本町・前田 光樹さん
田原本町の前田光樹さんは農業の傍ら、初期費用を抑えた植物工場を開発し、普及を目指している。太陽光とLED(発光ダイオード)光を併用したタイプで、前田さんはイチゴ、トマト、ブルーベリー、ワサビなどさまざまな試験栽培に取り組んでいる。
太陽光とLED光の併用で
太陽光を遮断した完全閉鎖型の植物工場は一般的に、室内に断熱材などを使用した二重構造となっていて、初期コストが高く、採算が合わないといわれる。
そこで前田さんは、太陽光とLED光を併用した植物工場を考案。1年ほど前、コンビニ店舗だった建物を改装して植物工場とした。設備には農業用資材の既製品を多く使用していて、完全閉鎖型に比べて導入のコストが低い。また、LEDの発熱で室内温度が上がるため、冬季は暖房を使用する必要がなく、ランニングコストを抑えられる。
安定生産の実現へ
「生育環境をコントロールできる植物工場ではより簡単に、安定して栽培・出荷ができる」と話し、さらに「園芸ハウスの開け閉めのような作業は必要ないため、障害者雇用の場にも有効だ」という。
前田さんが考案した植物工場は、国内外から関心が高く、企業から導入したいという声もある。「栽培時に炭酸ガスを使用して光合成を促すことで二酸化炭素(CO2)の低減にもなる。カーボンマイナスにもなる植物工場は企業にとっても導入するメリットがある」と話す。
前田さんは株式会社アグリテックプラスのCEO(最高経営責任者)を務め、アグロノミスト(土壌管理と農作物生産の専門家)として育種や栽培技術の開発などに取り組み、植物工場はその一つだ。現在は廃校や企業内倉庫を植物工場として利用する計画を進めていて、「今後は野菜栽培により力を入れ、いずれ腐らない野菜も開発したい」と意気込む。