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2021年11月16日

~天日干し釜炒り茶 この地で守り続ける~

山添村 みとちゃ農園 栢下 裕規 さん

「おいしいお茶が広まれば」と栢下さん。手元は揉捻機

 山添村にある「みとちゃ農園」の栢下裕規さんは、奈良市の茶専門店で「熊野釜炒り茶」を飲んだとき、香気やおいしさに衝撃を受けた。「自分でも栽培したい」と思い和歌山県で研修を積み、その後、2012年に同村へ移住して茶栽培を始めた。

 「おいしいお茶を作る」という経営理念のもと、栢下さんは茶1・5㌶、ミニトマト、ホウレンソウ(ハウス3棟8㌃)を栽培し、「おいしい天日干し釜炒り茶を多くの人に知ってもらいたい」と話す。

 天日干し釜炒り茶は、古くから自家用茶として親しまれている。茶葉の殺青・揉捻・天日乾燥など全て手作業だ。昔ながらの製法のため生産量が少ない。

 栢下さんは「常に新たなお茶を提供したい」と、製法に工夫する。摘み取った茶葉を一晩置き、萎凋香、釜炒り香、焙煎香など、天候・湿度・温度によって製法を工夫し、天日干しならではの茶に仕上げている。

 商品は11種類あり、茶専門店に出荷するほか、マルシェなどのイベントに出品している。「一度飲むとお茶のおいしさを味わってもらえる」と自信を持ち、今では口コミで評判が広まり、多くの人に飲んでもらえるようになった。

 「お茶の魅力を感じてほしい」と、茶摘みから天日干し乾燥まで幅広く体験できるイベントを17年から開催している。体験では茶畑の解放感の中で生葉に触れ、その香りなどを実際に五感で感じてもらえるという。

 今後について「古くから続いている製法をこの地でつなげていきたい。そして、規模を拡大し、加工場を大きくして、おいしいお茶を多くの方に味わってもらいたい」と笑顔で話す。

商品の一つである「天日干し釜炒り茶」を手に笑顔の栢下さん

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