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2018年9月26日
~より高い効果を目指すモンキードッグ~
宇陀市 逵 敏也 さん
「『行けー』と一直線に野生動物を追い払ってくれたときはうれしいですね」と話す、宇陀市室生深野の逵敏也さん(62)は、飼い犬の次郎長(川上犬・3歳)をモンキードッグとして訓練し、サルなどの追い払いに出動している。
宇陀市では野生動物による農作物被害が深刻で、2007年には被害額が8千万円を超すまでになった。対策として、広域協議会の設立や、サルの群れの位置情報を把握・共有できるシステムを導入した。市農林商工部農林課の廣田晶一さんは「システムの稼働により、一人だけでなくみんなで、より効果的な追い払いができるようになった」と話す。
さらに取り組まれたのがモンキードッグの育成だ。飼い主の号令のもと、サルを追い払う行動ができるように半年間訓練し、認定するもの。
逵さんは住民らとともに参加し、「活動を広げて貢献したい」と呼び掛けて、10年にモンキードッグ倶楽部を立ち上げた。
人と犬との追い払い対策は徐々に成果を上げ、16年にはニホンザルの大量捕獲に成功し、被害額を466万円まで減らした。
モンキードッグが追い払いを実施した地域では、サルの出没頻度は減っていることから、他の地域住民から出動要請があるという。
現在はモンキードッグの訓練士を養成する事業に取り組む。仲間を増やして、メンバーとモンキードッグの高齢化に歯止めをかけようと力が入る。
「育成訓練士として2匹訓練しています。仲間が増えることを期待し、できるならモンキードッグの全国的な組織をつくって活発に活動や支援をしたい」と逵さんは話している。